hatuncle007’s diary

百年先の日本を考えよう

「デフレの正体」藻谷浩介著(角川oneテーマ21)

イメージ 1

法人税5%減税の閣議決定後玄葉大臣が「デフレ脱却のため法人税を5%減税する」主旨の発言をしていたが誰がそんなことを真に受けるのであろうか。精々企業の内部留保を積み上げる程度が関の山ではあるまいか。バブル崩壊後当時の自民党政権は企業の国際競争力を付け活力を復活させ経済のパイを拡大させることが先決だとして各種特別租税措置を講じ大幅な規制緩和を実施して来たのではなかったか。この間積み上げられた赤字国債は凡そ250兆円にも上っているではないか。

先に「エコノミスト」誌が日本特集記事で指摘していたように日本の人口構造の変化そのものが日本のデフレをかくも抜き差しならないものにして来ているのではないのか。

こうした問いに夙に正面から切り込んだのが藻谷氏の「デフレの正体」だ。著者は景気変動を人口の波で捉える。そしてその人口の波も全体ではなく「生産年齢人口の波」が経済を動かしていると説く。種々のデーターは十分に説得力を持つ。

ではどうすればいいのか。著者は具体的提案を終わり3章を費やして明示している。その中の一つは高齢富裕層が保有する巨額な預貯金を若年層に移転させることだと言う。確かに1400兆円に上る国民の預貯金の4~5割は高齢者が保有していて全く死蔵状態にあるとも聞く。

これまで云われつくされた方策ではデフレ脱却が出来なかった理由もそれなりに肯ける。